【CAG所属どぐら選手インタビュー】『DBFZ』『SFV』令和に向けて変わっていく格ゲープロシーン

「強キャラ使いのみんな、ホンマ何してるんすか?」

かつて国内最大級の格闘ゲーム大会であった「闘劇」。
その2008年大会『Guilty Gear XX Accent Core』部門で優勝した際、ステージ上でどぐら選手はこう呼びかけました。

当時のどぐら選手といえば、弱キャラクターとされるロボカイを使い、防御のテクニックに磨きをかけることでトッププレイヤーとなったことで有名でした。
以降、そのゲームに対するこだわりと、歯に衣着せぬ物言いで、実力・人柄ともに認められ、今では関西を代表するプレイヤーとなりました。

ベテラン格闘ゲームプレイヤーとしてCYCLOPS athlete gamingに所属し、多様化する格闘ゲームのeスポーツシーンの中、どぐら選手はマルチゲーマーとして才能を発揮しています。
2018年は『ストリートファイターV』をプレイしながらも、新作ゲームである『ドラゴンボール ファイターズ』にもいち早く着手し、結果を残してきました。

今では大会の出場に留まらず、多くのメディア出演もこなす、文字通りマルチなプロゲーマー。

ゲームセンターが主流であった「プロ」など存在しない時代から、eスポーツとして確立されつつある今まで、格闘ゲーム業界の様々な側面を知るどぐら選手に、2018年度の格闘ゲームシーンを振り返っていただきました。

どぐら
CYCLOPS athlete gaming所属の格闘ゲームプレイヤー。
関西を代表するプレイヤーとして『ストリートファイターV』と『ドラゴンボールファイターズ』をメインに精力的にワールドツアーを回っている。2017年に結婚し、披露宴の様子をTwitchで生配信したことでも話題となった。
今では一児の父であるプロゲーマーパパ。
どぐら|Twitter
CYCLOPS athlete gaming|公式サイト

2018年度『DBFZ』総括、 “天才” のSonicFoxと “つまらん” かずのこ

――2018年度を振り返って大きかったことはなんですか?

どぐら やっぱり『ドラゴンボール ファイターズ』(以下、DBFZ)の発売ですかね。2018年はこのゲームをメインに活動してきたので。

『DBFZ』は、アークシステムワークス社が「ドラゴンボール」を題材にした格闘ゲームを開発するということで、「これは流行るだろ」と思っていました。原作も好きなので、発売前からプレイすることを決めていました。

――実際に大きな盛り上がりを見せた『DBFZ』ですが、その理由は何でしょう?

どぐら やはり新しいゲームなので、一番強いプレイヤーが常に入れ替わっていました。まずGO1選手が国内で圧倒的な強さを見せ、海外ではSonicFox選手がアメリカ最強と噂されていました。

この2人は「Final Round」と「Combo Breaker」というアメリカの大型格闘ゲーム大会で対峙し、前者はGO1選手の勝利、後者はSonicFox選手が勝利という展開になりました。格闘ゲーム最大の世界大会「EVO」の決勝戦で2人が戦ったのも熱かったですね。

自分も彼らの横で戦って、最強プレイヤーの移り変わりを間近で見ていたので、「やっぱり新しいゲームは面白いな」と思いましたね。

――新しいゲームでありながら、どぐら選手自身もゲームの初期から大会で上位入賞されていました。その理由は何でしょうか?

どぐら よく言われることなんですが、これは自分が『GUILTY GEAR』など他のアークシステムワークス系ゲームをプレイしていたからではないんです。実は『DBFZ』は他のゲームとかなり仕様が違います。

それでも上位入賞していた大きな理由としては、やはりGO1が側にいたということですかね。あいつはゲーム発売当初から強かったので、「こいつを倒せるように頑張ろう」というモチベーションが持てて、レベルの底上げにつながったかなと。

GO1は器用なので、どのゲームも最初から上手いやつなんです。特に『DBFZ』は、あいつが最強プレイヤーと言われている『MELTY BLOOD』というゲームに似ていると本人が言っていましたね。

――2018年度、最も印象に残った瞬間は何ですか?

どぐら カリフォルニア州開催の「SoCal Regionals」という大会で、アメリカ最強プレイヤーであり、個人的に大会で負け続きだったSonicFox選手に、初めて勝てたんです。

大会上位にいくと必ず当たる相手なので、練習の段階から彼を意識していたくらいです。ただ、何をしてくるか分からないプレイヤーなので、対戦前までずっと不安が付きまとっていたのを覚えています。

ずっと勝てなかった相手に勝てるのはやはり嬉しいことなので、印象に残っていますね。

――SonicFox選手の印象はいかがでしょうか?

どぐら あいつは天才やろうな、と思います。まだ21歳なのに、ずっと前から数々のゲームで成績を残し続けているプレイヤーなんです。『Mortal Kombat』シリーズにはじまり、『Injustice』『Skullgirls』と全てにおいてトッププレイヤーです。

あの若さでこれだけ色々なタイトルで強いのは、天性のものだろうと思います。

――『DBFZ』の海外プロプレイヤーたちとの交流はありますか?

どぐら めちゃくちゃあります。僕は少しだけ英語を喋れるので、みんな積極的に僕に話しかけてくれるんです。

それと、日本のプレイヤーは平均的にレベルが高いので、海外のプレイヤーからはリスペクトされているとも感じます。

僕たちも海外の事情などに興味があるので、積極的にコミュニケーションをとっています。ゲームの攻略に関しても、明け透けに話し合っています。2018年に日本とアメリカのプレイヤーのレベルが拮抗していたのも、これが理由かと思います。

――2018年シーズンの後半は、かずのこ選手が破竹の勢いを見せていました。かずのこ選手の印象はどうですか?

どぐら かずのことは10年以上の付き合いで、これまでも色々なゲームで腕を競い合ってきました。

2018年シーズンのかずのこを見ていて、ここまで安定できるのはやはり流石だなという印象です。ただ、プレイ内容に関して言えば、「マジでつまらんことしてるな」と(笑)。

言葉を選ばずに言ってしまうと、彼の戦い方はガチの “ミス待ち” なんです。それをトッププレイヤーに対してできているのは本人の技量あってこそですが、見ている側は面白くないですよね(笑)。

――ウメハラ選手が以前配信で、かずのこ選手の「広く浅くプレイする」姿勢を、プロの在り方として称賛していました。どぐら選手はどう感じていますか?

どぐら 確かにかずのこは色々なゲームで “つまらん” 戦い方を発見し、広く浅く結果を残しています。それは、結果を要求されるプロにとっては正解かもしれません……。ただ、それを称賛できるウメハラさんは懐が深いな、と思いますね。

ウメハラさんはかずのこと真逆で、ひとつのゲーム、ひとつのキャラをやり込むプレイヤーです。もし自分がウメハラさんだったら、もっと言葉を考えずに言ってますね。「ほんまにやばいなコイツ、ようできるわ」って(笑)。

プロから見た『DBFZ』というゲーム

――トッププレイヤーの方々が『DBFZ』を絶賛する理由は何なのでしょうか?

どぐら やはり、格闘ゲームとしてのゲーム性、そしてシステムの良さですね。

このゲーム、発売前のトレーラーとかを見てもらうとわかると思いますが、ベータ版は今と全く違うゲームだったんです。今よりもアクションゲーム性が強かったんですが、おそらく開発段階のどこかで、「競技性を追求するか」って路線変更したんだろうと想像しています。

一番最初のバージョンから顕著だったんですが、明らかに格闘ゲームの調整に慣れた方が開発を担ってる気がしました。強い行動には必ずリスクが生じる点や、ダッシュ行動の操作性の良さなど、格闘ゲームを深く理解していないとできない調整だと思います。

――魔人ブウ(純粋)を長く使用されていますが、思い入れはありますか?

どぐら そうですね、最初から通して使っているキャラは純粋ブウだけですかね。ただ、正直そこまで使いたいキャラではないんです。強いからという理由だけで使っていますね。

――最強キャラといわれる純粋ブウの強さは何でしょう?

どぐら このキャラクターは何回か調整を受けているのですが、一番強い部分はメスを入れられてないんです。リーチの長いしゃがみM攻撃と、拘束時間が長いアシスト攻撃がトップクラスで強いですね。

――『DBFZ』においてのキャラ選びの基準は何ですか?

どぐら 基本的には強いキャラを選んでます。好みの話をするならば、オーソドックスなキャラクターですかね。一番気に入っているキャラでいうと、超サイヤ人孫悟空とか。オーソドックスなキャラでいて、しかも強いので。

もちろん、好きなキャラ――ブロリーやクウラを使いたいという気持ちはあり、ちょこちょこチャレンジはしたんです。ただ、技量の無さもあってか、現状では「16号使ったほうが強えーだろ」という感じです。

プロプレイヤーとしては、やはり勝つことが最優先ですから。

「過労で倒れそうに」多様化するプロゲーマーの生活

――2018年といえば、「RAGE STREET FIGHTER V All-Star League」にもご出演されていました。どのような反響がありましたか?

どぐら このイベントに関しては、すごい反響がありました。全然知らない人からも、「出てたね」と言われたりします。やはりAbemaTVで放送されていたのが大きいんですかね。

それから、女性のファンも増えたような気がします。

――やはり女性からの人気は嬉しいですか?

どぐら そうですね。ないよりは勿論嬉しいです(笑)。ただ、僕は既婚者なので、応援してくれてる女性ファンの方々は、本当に純粋な気持ちで応援してくれているんだろうな、と思っています。

――メディア露出が増えることによって、プロとしての姿勢に変化はありましたか?

どぐら 僕はプロの中でもメディア露出が多いほうだと思うんです。そんな中、大会でのプレイと、番組やインタビューなどの出演と、どちらの方がファンが付きやすいのかなと考えることはありますね。おそらく僕の露出は半々くらいなんですよ。

僕がゲームやっているところを見て、応援してくれてる人もいるだろうし、インタビューなどを見て「面白い奴だな」と思ってくれる人もいると思います。

――大会以外の場でも、プロゲーマーの活動の幅が広がってきていますよね。

どぐら 年々感じていますが、仕事は増え続けていますね。例えばオフシーズンであっても、去年より格段に仕事量が増えました。やはり「eスポーツ」という言葉が叫ばれるようになってから、毎年忙しくなっています。

2018年は、本当に倒れそうになる時期もありました。2週間以上のアメリカ滞在と、先ほどお話した「RAGE」の収録が重なって。「過労で倒れるならこういうスケジュールやろな」と思いました。今年のスケジュールが去年より忙しくなると言われたら、「絶対イヤ」って言います(笑)。

――大会での結果の受け止め方、メンタルケアはどのように行っていますか?

どぐら メンタル面はGO1がすごく参考になっています。あいつは一喜一憂の「喜」の部分がないんです。「一一憂(いちいちゆう)」みたいな(笑)。

大会で優勝したとしても、「よかったぁ!」と喜びもせず、負けると「クビや……俺……」って。本当にこんな調子なんです。僕はいつも隣で見ていて、「しんどいやろな」「これだけはやったらあかんな」と思っています。

「この大会に負けたら死にます」だったら僕もこのくらいのテンションになるかもしれませんが、実際そんなことは無いじゃないですか。

大会の結果として、最悪のパターンを考えるとしたら、「大会失格&クビ」とかじゃないですか。それでも、死にはしないわけですから。

大会に臨むときも平常心を意識していますし、負けても「次頑張ろう」と思うようにしています。

――どぐらさんはご結婚され、一児の父でもありますが、プロ活動とはどのように両立されていますか?

どぐら 育児とか家事とか、手伝ったほうがいいなって時は、僕も積極的にやっています。ただ、娘ももう1歳半なので、前ほど手はかからなくなってきました。それでも休みの日は遊んであげたり、お風呂に入れたりしてますね。

あとアーケードコントローラーに興味を持ち始めましたね。アケコンって触ってるだけで結構楽しいので。

――育児はゲームの質に影響しますか?

どぐら ずっとゲームばかりやっていると気が詰まるので、子供と遊ぶことはとてもいいリセットになります。

腹立つ負け方をした時とか、ゲームそのものから離れたくなることもあるので、その時に子供と向き合うのはいい切り替えになりますね。

変わりゆく格ゲー界のプレイ環境

――東京にはプロプレイヤーが一堂に会して『ストリートファイターV』(以下、SFV)を練習する場所があると聞きましたが、行かれたことはありますか?

どぐら 「FAV Gaming」主催の練習場ですね。行ったことありますが、あれは「ズル」ですね(笑)。あそこに毎日通っているプレイヤーに、普通のプレイヤーが勝つのは厳しいと思います。

僕も一時期通っていて、お世話になりました。その甲斐あって『SFV』のシーズン2ではプレミア大会で優勝することもできました。

『SFV』というゲームは、普通に遊んでいれば、自ずとネット対戦がメインになります。ネット対戦を主戦場とするプレイヤーと、あの環境で練習しているプレイヤーでは、レベルにかなりの差が生じると思います。

――東京と大阪では、格闘ゲームのレベルの差はどうでしょうか。

どぐら 『SFV』のレベルで言うと、大阪ではCYCLOPS対戦会で優勝できれば一人前ですが、それができたとしても、東京のレベルと比べたら話にならないですね。そのくらいレベルは違います。

『DBFZ』に関しては微妙ですね。例えば、関東対関西で5on5をやるとしたら、厳しい試合の末に関西が勝つだろうな、という印象です。ただ、関東と関西では層の厚さが違うので、10on10、15on15になると、関東に分がありますね。やはり、全体で言うと東京の方が環境がいいと思います。

――『ストリートファイターV タイプアーケード』が発表されましたが、どのような印象をお持ちですか?

どぐら 僕は根っからのゲーセン勢なので、当然ロケーションテストから行きました。その時は、昔から行っている難波のゲームセンターに、久々に開店から行ったんです。そしたら、カプコンの綾野プロデューサーがいてびっくりしました(笑)。

流行るかどうかで言うと、値段次第かなと思います。家ではタダのものに、ゲーセンでいくらまで払えるのかな、という問題ですよね。『ストリートファイターIV』に関しては、ゲーセンの店内対戦が主戦場だったのですが、今は状況が違いますからね。

――今でもゲームセンターには行かれますか?

どぐら 僕は昔から通っている大阪の「モンテカルロ」に行くことが多いんですが、友達と喋りに行っている感じですね。ゲーセンには現役でプレイできるゲームが無くなってしまったので。

週末になると、知り合いはみんな「モンテカルロ」へ来るので、お金を使わずにただ3時間くらいお喋りしたりしますね。

2019年も『DBFZ』と『SFV』の2軸で

――最後に未来のお話についてです。2019年度はどのような展望をお持ちですか?

どぐら 去年一年やって、めちゃくちゃ頑張れば、2タイトルプレイできるなと感じています。なので、『DBFZ』と『SFV』の2本のツアーをメインで回る予定です。

「ARCREVO WORLD TOUR」に関しては、チームの意向次第ですかね。特に『GUILTY GEAR』シリーズは貯金があるので、少しやって感覚を取り戻せば、戦えないことも無いと思っています。

――今後の『DBFZ』に期待することはありますか?

どぐら ジレンとビーデルという新キャラが2人配信されましたが、どちらも強い印象です。今までのDLCキャラは控えめな性能のものが多かったので、もしかしたら今シーズンは違うのかな?と期待しています。

それと、キャラだけでなくアシストの種類も増えて欲しいですね。アシストのせいで使われないキャラクターが沢山いる現状なので、そこが変わればチーム選択の幅も広がると思います。

――『DBFZ』のように、格闘ゲームになってほしい漫画などはありますか?

どぐら 「バジリスク 甲賀忍法帖」ですね。忍者ものの作品なのですが、パチンコやスロットの展開も多いので、格闘ゲームになっても盛り上がるんじゃないかと思っています。

――貴重なお時間をありがとうございました!2019年度、そして令和も頑張ってください!