『魔法のエンジェル スイートミント』の作品概要と登場人物まとめ

『魔法のエンジェル スイートミント』(1990年5月2日~1991年3月27日・全47話 / TV放送)

「魔法のエンジェル スイートミント」(以下、「ミント」)は、葦プロが「魔法の プリンセス ミンキーモモ」から実に7年もの歳月を経て生み出した、いわば「モモ」の正当な後継者といえる完全新作 (テレビアニメとしても「魔法のアイドル パステルユーミ」以来4年ぶりに登場した新作) ということでマニアの注目する中、放送がスタートした魔女っ子アニメでした。

しかしながら、放送当時のアニメファンからの評価は決して芳しいものではなく、また現在においても再評価される機運は あまり見られません。筆者は本作品で主役を演じられた笠原弘子氏のファンですので、むろん「ミント」にも思い入れはありますが、 それでも「ミント」はマイナーな魔女っ子と言わざるを得ないと思っています(まあ、「魔女っ子チックル」に比べればマシですが)。

では、なぜ「ミント」はマイナー魔女っ子の地位に甘んじてしまっているのか。その理由を以下から見ていきましょう。

先に「ミント」は「空モモ」と同じ葦プロの手による作品と書きましたが、それゆえでしょうか、「ミント」は 「空モモ」を彷彿とさせる設定が数多く登場します。

(1) 主人公が魔法の国の王女。

(2) 人々を幸せを与えるという目的で人間界にやって来た。

(3) 魔法で専門職に変身する。

目的に多少の違いがあるとはいえ、ほとんど「空モモ」と同じ設定。全体的な雰囲気がコミカルになっていることなども含め、 明らかに製作者は「空モモ」を意識していたものと思われます(監督の大庭氏は「空モモ」のメイン演出家だったこと から考えても、「空モモ」のイメージで制作していたのは間違いないでしょう)。

新鮮味は無いながらも安定した設定ですし、しかも「マシンロボ・クロノスの大逆襲」などで知られる人気アニメーター の羽原信義氏がデザインした主人公のミントはツインテールにスレンダーなボディなうえ、ギリギリのミニスカートで動き 回ってくれる!
…と、人気の出そうな要素はタップリと詰まっているのです。

なのに「ミント」は、リアルタイムでは人気が出ず、そして現在においても再評価される気配がありません。 それは…全体的にダメだから、と言ってしまうとそれまでなのですが、主に3つの要因によるのではないでしょうか。

まず1つ目の理由は、物語の芯となるものが全然見えてこないことです。

例えば、「ミント」では「空モモ」と同じく主人公が目的をもって人間界にやって来たことになっているのですが、それに関する 描写が皆無に近いので、主人公が何がやりたいのかハッキリしないのです。このような目的設定というのは、子供の視聴者が理解 しやすいように用意されていると言われています。にもかかわらず、「空モモ」のように目的達成を明示するシーンが存在せず、 かといって目的を忘れさせてくれるくらいの何か(例えばドタバタギャグとか)に満ち溢れているわけでもありません。

また、「ミント」はコミカルな作風だと書きましたが、それはいいかげんで適当な展開と紙一重なもの。人前で魔法を使っては いけないというオーソドックスな設定を持ち出しておきながら街中で平気で魔法を連発するは、逆に安直な魔法の使い方が多い くせに肝心な場面で魔法の使用を制限するは…。それらはただ単に、無軌道でまとまりが無い作品…という印象しか与えて くれないのです。

次に2つ目の理由、それはキャラクターの魅力が弱いということ。

唐沢俊一氏は「アニメで最重要のファクターはキャラクターの魅力」というようなことを仰っていたように記憶してますが、 これは極論ながらも実に的を射た言葉と思います。

では「ミント」は?
と考えてみると、主人公のミントは外見こそ悪くないものの、残念ながらこれといった特徴が見当た らないのです。例えば、モモやペルシャであればバカ元気なところが、森沢優であれば小生意気で背伸びしたい年頃の少女像が、 それぞれ見えてくるのですが、それらに比べてミントは中途半端に優等生的なところがあり、また周りの人間との関わり(例えば 恋愛談のような)が描かれることも少なく、どうにも薄味で印象に残りにくいのです(これはミントの周りを取り囲む脇役にも 言えることです)。

それなら日常生活の中にキャラクターを埋没させるという「魔法のスター マジカルエミ」的な 演出もありえたのでしょうが、いかんせん作品の基本路線がコミカルな方向であるわけで、この方法も無理だったようです。

そして最後の3つ目の理由、これこそが最も致命的な点ではあるのですが、とにかく作画レベルが低いのなんのって。 口の悪いアニメファン曰く、”顔のひん曲がった魔女っ子”と。なるほど、第3話「すてきな街は何の色?」などを見てみると 御説ごもっとも、筆者としても擁護できません。単に作画レベルが低いだけでなく、セルの重ね合わせミスによって映像が おかしくなっている場面も多々ありました。

これに関しては当時のアニメ制作事情を説明しておくべきでしょう。1980年代末~1990年というのはテレビ東京系が積極的に アニメ放送に参入したことにより、テレビアニメの製作本数が急増した時期でした。その数、週40本強。さらに、かつては存在 しなかったOVAというジャンルが一大市場を築き上げていたため、必然的に人材不足 -> 海外下請けへの丸投げ、という流れに よって作品の質的低下も急加速していたのです。「ミント」と同時期に放送されていた「天空戦記シュラト」などは、未だに 作画レベルの低さが語り草になっているほどなのですから。

さらに悪いことに、「ミント」を制作していた葦プロは当時、他に「たいむとらぶるトンデケマン」、「NG騎士ラムネ&40」、 「アイドル天使ようこそようこ」も手がけており、どうやら中心スタッフがそれらの作品に流れてしまっていたようなのです。

そのアオリをモロに食らった「ミント」は、おかげで作画面の問題が視聴者への名刺代わりとなるはずのOP映像にまで及んで しまい、当然のようにマニアにはそっぽを向かれてしまう結果となったわけです。

ここでまたもや私的な話にそれますが、筆者は学生の頃に「ミント」をリアルタイムで拝見していたものの、色々と忙しくて 途中で視聴を止めており、「ミント」に対しては前半数話程度のイメージしか残っていませんでした。ですから告白しますと、 この文章を書こうと思った当初は「ミント」について ”朴訥とした垢抜けていない外見ではあるが、これはこれで独特の可愛さが 感じられる絵柄ではないだろうか” などと書いて、お茶を濁すつもりでいたのです。

ところが本欄のために「ミント」をチェックした際、第2期OPを目にして驚愕。アニメ制作は多人数が関わっているもの なので、バージョン変更によって雰囲気が変わるということはよくある話です。ですが、本作の場合は雰囲気が変わったと いうようなレベルではなく、絵柄そのものが根本的な部分から変わっていて、もはや別物。

筆者は今でも「マジカルエミ」こそが魔女っ子アニメ史上最高のOP映像だと思っていますが、これはその牙城を脅かす ほどの神がかり的なハイクオリティ。これが最初から放送されていたら、もっと注目されていたに 違いないのに…終盤(第38話)からではまさに焼け石に水でした…。
(これに関しては、セルドロに盗まれたために第2期OPの開始が第38話まで遅れた、という凄い噂があります。 これって本当の話なのでしょうか?)

以上のように様々な問題を抱えていたために人気の出なかった「ミント」。しかし、意外と支持する方もいらっしゃる ようで、2004年にもなってから”たのみこむ”の力でDVD化が実現しました(冒頭にも書いたように個人的にも「ミント」は大好きな作品です)。

他の方がどういった理由で「ミント」に惹かれたのかは分かりませんが、筆者個人は、主人公であるミントの 垢抜けていない、あまり色のついていない普通っぽいところが、逆に魅力的だと感じたのかもしれません。

OPもEDも歴史的名曲というわけではありません。それでも…(アルバムを引っ張り出して聴いてみる)、これだ!とは 言えないのですが、妙に味わい深くて口ずさんでしまうのです(笠原弘子氏の歌声が、これまたタマランのです)。

たしかに佳作とすら呼べない作品ではあるのですが、その地味さが味と感じられれば不思議とハマってしまう。 おそらく「ミント」とは、そういう作品なのではないかと思います(…あまり誉め言葉になっていない、ですか?)。

~「魔法のエンジェル スイートミント」 登場キャラクター紹介~

ミント

魔法の国のプリンセス。12歳。虹色の谷に七色の花々をよみがえらせるため、人々に幸せを与え ようと魔法の国から人間界へとやって来た。普段は伯母のハーブが経営する「しあわせショップ」を手伝っている。

おてんば、というよりはガサツと表現したほうがよいくらい元気がよく、食い意地がはっているところなども含めて 母親のライムから性格を強く受け継いでいる様子。なぜか極度の方向音痴。「スイーっと○○しましょ」、「わっかりませんネ」 などの妙な口癖をもっている。

ワッフル

ミントが5歳のときに拾われ、そのままペットになった手乗りペンギン。名前はミントの好物であるお菓子に由来する。

動物語を操り(「ペンペン」と言っているだけにしか聞こえないが)、空を飛べるあたり、さすがは魔法の国のペンギンと 言うべきか。腹部の袋(ということは有袋類なのか?)は四○元ポケットというわけではないが、クッキーの一枚くらいなら しまっておけるようだ。

プラム

人間としてはミントに初めてできた友人で、ミントの秘密を知る数少ない人間の一人。

なかなか悪くない顔立ちをしているのだが、自転車に乗るのにも一苦労というくらい運動神経がニブく(ただしスキー だけは得意らしい)、高所恐怖症、そのうえカワイイ女性には目が無いという軽い性格をしているのが問題だったのか、 あまりモテるという描写はなかった。

ナッツ

ミントの友人で、プラムと同じくミントの秘密を知る数少ない人間の一人。

特技は料理という家庭的な少女で、比較的おっとりとした性格をしているが、イザというときの決断力は プラムよりも上のように見受けられる。

他人がバカにされているときに遠慮なく笑うシーンが多いので、案外と性格悪いのかもしれない。

タクト

「しあわせショップ」に遊びにくる、イタズラ好きの少年。意外と人情家で正義感が強く、自分の信念は曲げない。 とはいえ、実は幽霊が大の苦手だったりするところは、まだまだ子供ということか。ミントたち3人組が行動するときは 同行させてもらえないことが多かった。

発明家のトーマス博士と仲が良い。また、ディジーという女の子のことが好きらしい。

ハーブ

ミントの伯母、コーン王の姉にあたる魔法使い。「しあわせショップ」という名のナンデモ屋を経営しており、 人間界へやって来たミントの保護者を務めることになる。かなり気が若く、店番をミントに任せて外で遊んでいることが多い。

困ったことに、彼女自身が人間界で住むことになった理由がイマイチ分からない。

コーン&ライム

ミントの両親、つまり魔法の国の王様と王妃。人間界に旅立ったミントを、いつも仲良く見守っている。

コーンは普段は王様らしく威厳を見せているが、ミントに対してかなり親バカなところがある。「スイスイスー ダラタッタ、スイートコ~ン♪」と呪文を唱える。

ライムは年のわりに少女趣味のある女性のようで、しかも天然ボケで後先考えないで行動する…と困った性格をしている。 ハンサムな男性には弱いようだ。

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