『魔法のアイドル パステルユーミ』の作品概要と登場人物まとめ

~変身しない、ぴえろ魔女っ子の異端児~

他の紹介欄で何度も書いてきたことですが、”ぴえろ魔女っ子”シリーズでは大人への変身というものを通して主人公の成長と アイデンティティの確立を描くということが一つの柱となっていました。これはシリーズ第3弾 「魔法のスター マジカルエミ」 で徹底的に押し進められ、それは魔法の放棄という結末を 導き出すこととなりました。

さて、ここからは筆者の想像です。「エミ」の後を継いだスタッフは、おそらく大いに悩んだはずです。”ぴえろ魔女っ子”の 続編を作るのであれば同路線を継承すべきでしょうが、しかし「エミ」が全てを搾り取ってしまった後では、生まれる作品は 出がらしのような代物になってしまいかねません。だとすれば、今までとは全く違った別路線を進むしかない…。

今回紹介する”ぴえろ魔女っ子”シリーズ第4弾作品「魔法のアイドル パステルユーミ」は明らかに他のシリーズ作品と異なった 作風となっていますが、それは以上のような葛藤の中から生まれたから…ではないかと思われます。

ところで、上に「ユーミ」と他の”ぴえろ魔女っ子”には違い存在すると書きましたが、その違いとはいったい何なのか?

相違点はいくつか存在していますが、その中で最も特徴的なのは 主人公が変身しない ということでしょう。

”ぴえろ魔女っ子”にとっては”普通の女の子が魔法を授かることで大人に変身できるようになる”という設定は一種の不文律 とでも言うべき基本フォーマットであり、ゆえに「ユーミ」以前の3作品も、そして「ユーミ」以降に作られたシリーズ作品もこれを継承 しています。

ただ1作品、「ユーミ」だけがこれを無視した内容となっているのは、やはりスタッフが独自性を打ち出そうと一か八かの冒険を 仕掛けた結果なのでしょう。

それでは、変身の代わりに「ユーミ」では如何様な魔法を登場させたのか?

これがなんと、魔法のアイテムで描いた物が実体化する という、なんともトンデモナイ代物だったのです。

「魔女っ子メグちゃん」 などで登場した魔法に比べると万能性は低いように感じられますが、 それでも絵を描きさえすれば実体化できるわけですから、ある意味では何でもアリの魔法と言っても差し支えないでしょう。

それゆえ、「ユーミ」は非常に荒唐無稽な物語が多くなり、登場人物も妙に現実離れした面々ばかりが登場することとなりました。 「エミ」が現実的な、徹底的にドラマ性を排除した作風だったことから考えると、これは方向性が180度転換してしまったわけです。

そして、この点が「ユーミ」が人気作になることを妨げ、”ぴえろ魔女っ子”シリーズが4作品目で幕を閉じることになった要因の 一つだったのではないかとも思われるのです。つまり、「エミ」の演出に心酔したマニア層たちは、作風のあまりのギャップについて ゆけなかったのではなかろうか…と。

また、荒唐無稽な物語が作品全体をぼかしてしまったことも不運なことでした。

コメディタッチの恋愛劇だった「マミ」、ドタバタコメディが愉快な「ペルシャ」、生活感を追求した「エミ」。特徴が すぐさま思い出されるこれら3作品に比べ、「ユーミ」では作品の軸と呼べるような何かが存在していないのです。

徹底したパロディアニメであれば、それはそれで受けた可能性はあります。ですが、そのような作風でもなかったため、単なる まとまりのない内容にしか見えなかったのです。これもまたマニア層が食いつかなかった理由なのかもしれません。

そんなこんなでマニア層から見放されてしまった「ユーミ」ですが、では、本来の訴求対象である少女層にはどうだったのか というと、こちらもまた受けは良くなかった様子なのです。それはナゼか?

単純に、絵を実体化する魔法というものが魅力的だと感じられなかった、ということもあるでしょう。が、それに加えてもう 一つの事柄が要因なっていたとも考えられるのです。

その要因……今現在、負の方向で「ユーミ」が語られる最大の理由……それは、(おそらく男性の)スタッフの暴走演出だった ではないでしょうか。

とにかく 主人公・花園ユーミ(9歳)の裸が出まくるのです!

細かくは後の項で解説するつもりですが、第1話からしてユーミが パンツ一丁の素っ裸を披露。 第2話では冒頭の登校途中でいきなりパンツ一丁の素っ裸(またかよ!)になるという 幼女ストリーキング に加え、ラストの締めには 長時間の入浴シーン(ペッタンコの胸が丸見え) という、現在では児童ポルノ 法に抵触するに違いないであろう強烈コンボ。

四の五の言わず、とにかく9歳の幼女に萌えろ! と言わんばかりの、スタッフの(間違った)パトスが炸裂した演出。そんな ものが少女層に受けるわけがありません。さすがのマニア層も、萌え対象が9歳の幼女とあっては戸惑ったことでしょう。

この暴走演出は女性の制作スタッフにまで受けが悪かったそうで、これが原因でキャラクターデザインを担当された洞沢由美子氏が 途中離脱されたとも言われています。

このようなことが積み重なった末、「ユーミ」は全25話、2クールで打ち切られることになり、4作品続いた”ぴえろ魔女っ子”は これをもって一旦幕を閉じることになります。視聴率的に振るわなかったために早期から打ち切りが決定していたそうで、 第2クールからは4話に1回の割合で総集編が挟まるという前代未聞の結果を残すこととなってしまいました。

それゆえ、おそらく1980年代の”ぴえろ魔女っ子”4部作の中で、この作品だけは名前すら知らないという人が多いのではない でしょうか。そんな「ユーミ」を、今回はじっくりと紹介していこうと思います。

(付記)

記すべきことではないと思いましたが、念のために。主人公の花園ユーミを演じ、主題歌も担当られた志賀真理子氏は、音楽の 修学のために渡米中、交通事故で亡くなられました。享年19歳。あまりにも早すぎる死でした。ご冥福をお祈り申し上げます。

~「魔法のアイドル パステルユーミ」 登場キャラクター紹介~

それでは、ここからは「ユーミ」の主な登場人物の紹介に移りたいと思います。

花園ユーミ

花園フラワーショップの一人娘で、花の大好きな少女。9歳。絵を描くのが得意で、将来はマンガ家になるのが 夢だという。負けん気が強く、男勝りのお転婆な性格をしているのは祖父ゆずりということだろうか。

店で働く恭平に好意を持っているが相手にされず、逆に同級生の健太からの一途な想いにはまるで気がついていない。

ミツアミを解くと意外とロングなソバージュ風ヘアになる。チャームポイントはソバカス(?)。入浴好き。

カキ丸&ケシ丸

花の国からやってきた妖精。花を大事にしたお礼として、花園ユーミに魔法を授けた。「ポプリコ ピリリンパ」という 呪文を唱えることで花びらに変身することができ、普段はその姿でユーミを見守っている。

カキ丸(右)は黄色がシンボルカラーの、落ち着いた性格の女性型(?)妖精。首にぶら下げたペンで何でも描くことができる。

ケシ丸(左)は桃色がシンボルカラーの、イタズラ小僧な男性型(?)妖精。大きな尻尾を使えば、何でも消すことができる。

三沢健太

ユーミのクラスメート。ヨットハーバーに建てられたボートハウスで、兄の恭平と二人暮しの生活をしている。 たまに兄と共にフラワーショップでアルバイトすることも。

容貌、運動神経ともにイマイチで、兄に対してコンプレックスを持つダメ少年に見えることが多い。それでも、なにより ユーミのことを一番に考え、イザというときは陰から助力するという健気な性格をしている。第22話において、ユーミも その優しさに気付いた様子であったのだが…?

花園一郎&桃子

ユーミの両親。大恋愛の末に結婚し、現在はフラワータウンで花園フラワーショップという花屋を経営している。

一郎(右)は娘のユーミと違って妙に気の弱い男性。草花好きが高じてフラワーショップを経営するようになり、冒険家である 父の後は継がなかった。

桃子(左)は一郎と反対に気の強い性格をしている女性。一郎に対しては小学生の頃から想いを寄せいていたように描かれて いたが…そうすると話に矛盾が出来てしまうような。

三沢恭平

花園フラワーショップでアルバイトをしている青年(大学生?)。健太の兄。18歳。趣味はハンググライダーで、暇さえ あればフラワータウン上空を飛行している。その腕前は玄人はだし。

爽やかな性格と二枚目の風貌ゆえ同年代の女性ファンが多いものの、なぜか浮いた噂が一つも無い。ユーミにとっても 憧れの君であるのだが、さすがに年齢が離れすぎていて恋愛対象とは見なされていないようだ。

花園ダン吉

ユーミの祖父、一郎の父。ラクダの今井君とともに世界中を旅してきたが、最近になってフラワータウンの外れにある 森の中に居を構えるようになった。

花園流冒険の家元を名乗っているが、どこまで本当でどこからホラなのか判別が不能。よく言えば好奇心旺盛、悪く言えば イイ歳して子供じみた遊びが好きな困った性格をしている老人である。

もしかすると、名前の元ネタは「冒険ダン吉」なのだろか?

袋小路&国光

袋小路婦人(左)はフラワータウンでも指折りのお金持ち。若い頃に体験したとある出来事が原因で、現在では花を見る だけでクシャミが止まらなくなる程の花アレルギー体質になっている。パリに知り合いがいるらしい。

国光喜三郎(右)は袋小路家の執事で、かつては桃子を巡って一郎と争っていた人物。カリントウとバラ酒には目が無いらしい。 第21話で意外と博識であることが判明した。あの奇妙なヘアスタイルはカツラではないようだ。

~一郎、桃子、国光の設定について~

「ユーミ」は全体的な構成にまとまりを欠いていたためか、どうにもキャラクターの設定に矛盾のようなものが見られます。 中でも、一郎、桃子、国光の3人はよく分からない部分が多くて大困惑。

まず、公式の設定によると一郎と桃子4歳の年齢差があることになっています。ところが第23話を見ていると学校の学芸会で 共演しているので両者は同級生だったと見るのが自然であり、先の設定と矛盾してしまいます。

分からないことといえば、国光自身にも不明な部分が多いです。第6話では出身地が八戸と語っていたのに、第20話では フラワータウンの出身ということになっていました。彼が袋小路家の執事になった経緯もまるっきり不明ですし、話によって 性格がコロコロ変化してしまうということもありました。

これらは、おそらく監督かシリーズ構成の方がチェックを怠ったために発生してしまったミスだと思います。「ユーミ」は あまりにも全体的に矛盾が多いので、あまりそういう部分には注意を払わずにノリ重視で製作していた…というのが真相なの でしょう。

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