前項までで「ペルシャ」の内容や魔法は紹介し終わりましたので、ここからは「ペルシャ」の あらすじと必見エピソードをいっぺんに紹介してみようと思います。
あらすじ
アフリカの自然の中で暮らしていた元気一杯の少女ペルシャは、ある日、いとこの室井学、力、そして祖父の剛健と一緒に両親の 住む日本へ帰ることになりました。ところがその帰途、彼らの搭乗した飛行機は謎の乱気流に巻き込まれ、ペルシャは妖精たちの 住む国ラブリードリームへ飛ばされてしまいます。
そこでペルシャは一人の妖精と出会い、崩壊の危機に立たされているラブリードリームを救うために人々から愛のエネルギーを 集めて欲しいと頼まれます。そういわれても方法がわからないと困惑するペルシャに、妖精は大人に変身できる魔法を授けるのでした。
ただし、この魔法にはひとつの制約がありました。それは、魔法で大人に変身できるという秘密を他人に知られたとき、その 魔法の力は失われ、さらにはペルシャの愛する人 ― 学と力 ― が女性に姿を変えられてしまうというものでした。はたして、 ペルシャは人々から愛のエネルギーを集め、ラブリードリームを復活させることができるのでしょうか…?
前々項でも書いたことですが、上のあらすじを見ても分かるとおり「ペルシャ」は「モモ」に似た設定を持つ物語となっています。 変更点といえば夢が愛になったくらいで、その類似性を嫌ったアニメファンも多かったそうですが、これくらい強く目的を提示して おいた方が子供受けは良かったのかもしれません、
ただ、「モモ」のハッピーティアのように明確な使命達成の演出は皆無に近く、この設定が上手く活用されたかと言われると 首をひねらざるを得ないわけですが。
「魔法の妖精ペルシャ」 必見エピソード紹介
第15話 「炎の町内ランナー」
~あらすじ~
明日は待ちに待った運動会の日。普段から驚異的なペルシャの運動能力を目にしていたゲラゲラは、実際にどれくらい足が 速いのか計測してみることにしてみました。その記録、なんと100メートル8秒フラット!
このまま運動会に出場すると衆人の注目を浴びてしまい、魔法を使って愛のエネルギーを集めることもままならなくなるだろう。 そう考えたゲラゲラは、ペルシャに鉛入りの重たいクツを履いて運動会に出るように命じます。
さて、運動会の当日。ゲラゲラの思惑通り、鉛入りのクツを履いたペルシャは思うように動けず、運動会の結果は散々なもの となってしまいました。落ち込むペルシャの姿を見たプリプリたちは、ゲラゲラを脅して裸足で走れるようにしてあげます。
そうこうするうちに、運動会も最終種目のファミリーリレーを残すのみとなりました。
ところが競技の開始直前、第2走者の小夜が急病に見舞われて出られなくなってしまいます。ならば自分が変身して2回走ればすむこと と考えたペルシャでしたが、変身しようとしたそのとき、カチューシャが宅配便のトラックの荷台に引っかかってそれを追いかける 羽目になってしまいました。
ヘトヘトになりながらも学園に戻ってきたペルシャは、大人に変身して第2走者として、さらに変身を解いてアンカーとして 出場し、その驚異的なスピードでトップとの差を縮めていきます。ペルシャはトップでゴールを駆け抜けることができるのか…?
~ちょっと一言二言~
コメディタッチの「ペルシャ」を代表する話。アフリカ育ちで運動神経抜群とはいえ100メートル8秒というのはとんでもない話で、 このようなペルシャ自身の荒唐無稽なところが作品の一つの魅力になっているのではないかと思います。
ところで武上純希氏が脚本を担当している回は有名映画からタイトルをパロっているのではないかと思われる節がありまして、 この第15話は「炎のランナー」でしょうし、第26話「真冬のライオン祭り」は「真冬のライオン」から貰ってきているのでしょう。 本編とは全然関係無いことですが、そういう部分に注目するのも面白いかもしれません。
第19話 「ペルシャが2人!」
第20話 「魔法が使えない!」
第21話 「凍りついた学と力」
~あらすじ~
学、力とケンカをして橋の上で物思いに沈んでたペルシャは、古アパートの一室から聞こえてくる美しいピアノの調べを耳に した途端、魔法を使ってもいないのに大人に変身してしまいます。異変を感じたのか、先ほどのピアノの調べが聞こえて きた部屋から男が顔を覗かせます。男はペルシャを自分の知り合いと勘違いし、約束どおり自分の曲に作詞をして欲しいと 一方的に話し掛けるのでした。
男の名は沢木研ニ。彼の話によって、驚くべき真実が明らかになります。
大人になったペルシャはラブリードリームの女王、フェアリの生き写しであること。そして、フェアリは人間と妖精の恋は 絶対に叶わないことを知りながらも沢木と恋に落ちてしまい、その悲しみから自らとラブリードリームを氷に閉ざしてしまったこと。
とまどいながらもペルシャはフェアリの代わりに詞を完成させ、それを沢木の前で歌います。すると、それに誘われたのか、 沢木の隣にフェアリの幻が姿を現したのでした…。
その翌日、ペルシャは3匹のカッパたちが姿を消しており、さらには現在の自分と大人の自分が鏡の中ではあべこべに映って しまっていることに気付くのでした。自分の正体を知られてしまうかもしれないという恐怖心から自室に引きこもってしまう ペルシャ。そこに学と力が見舞いにやってきます。
大好きな2人ならばと自室に招き入れたペルシャでしたが、ついつい気を許してしまったがために部屋の鏡に映ったもう一つ姿を 見られてしまいます。その途端、制約どおりに学と力は女性に姿を変えられ、ペルシャの魔法は封印されてしまうのでした。
自室の鏡からラブリードリームへと転送されたペルシャは、そこで氷漬けになった学と力の姿を発見します。ところが、 ラブリードリームは今にも崩壊するやもしれず、このままでは学と力も粉々に砕け散ってしまいかねません。
ただただ泣き崩れるペルシャの元に妖精が現れ、沢木とフェアリのペンダントを交換して沢木の愛が確かめられれば学と力は 元の姿に戻るかもしれないと語るのでした。
苦労の末、なんとかペルシャは沢木とペンダントを交換することに成功します。ラブリードリームへと戻ったペルシャは 沢木のペンダントからフェアリへの愛の力を開放し、それによってラブリードリームの崩壊は間一髪のところで食い止められ、 学と力は元の姿へ戻るのでした。
~ちょっと一言二言~
いわゆる第1期目の締めとなる回。後々まで伏線となる沢木とフェアリの悲恋物語が語られ、どちらかというとコメディタッチで 進んできた「ペルシャ」は、ここで一気にシリアス路線へと突っ走ることになります。
ところで前項でも書きましたが、この第21話からテコ入れ(?)のために変身アイテムが変更されます。意味もなくカッパの ブレスレットが登場するというのはやりすぎな気もしますが、正体を見られてしまったせいでペンダントが無くなってしまい、 代わりのペンダントが必要となるという展開は実にお見事。このような自然な流れでのアイテム変更なら、 見ている方も納得できるというものです。(それに比べると、31話の変更劇はちょっと…)
第45話 「涙は春風に乗って」
第46話 「行かないで! 学と力」
~あらすじ~
謎の病気の研究のためにアフリカに永住しなければならなくなった剛健は、その前準備に忙殺され、過労から倒れてしまいます。 今後の進路を決めかねていた学は、そんな祖父の姿を目にして、数少ない身内の人間が側にいてやらねばならないと自分もアフリカへ 移ることを決心するのでした。
翌日、最後の思い出作りにとペルシャと二人きりのデートを楽しんだ学は、その帰り道、ペルシャにお別れしなければならない ことを告げます。その言葉を受け入れることができないペルシャは誰もいない野球場へと駆け込み、学がアフリカに行かないで すむようにと魔法の呪文を唱えます。しかし、いかに魔法の力をもってしても、それは不可能なこと。それはペルシャ自身が 一番よく分かっていたはずのことでした。
一晩経ってなんとか心を整理し、学が去り行くことを受け入れたペルシャは、せめて何かを贈ろうと少ないお小遣いを手に街を 歩き回りますが、何を贈ったらいいのかも決めることが出来ずにいました。意気消沈のまま家に帰り着いたペルシャは魔法で大人に 変身すると、学の元へ届けと自分の精一杯の想いを込めて、沢木の作曲したあのピアノ曲を演奏するのでした。
すると不思議なことに、聞こえるはずもないその曲が学の耳に届いたのです。ペルシャにアフリカ行きを伝えたものの、いまだ 迷っていた学は、それを聞くと弾かれたように家を飛び出し、ペルシャの家へと急ぐのでした。
突然の訪問を受け、急いで変身を解かねばと焦るペルシャ。そんな彼女に対して、学はドア越しに自らの思いを告げるのでした。 自分はペルシャのことが好きだ、と。
~ちょっと一言二言~
ペルシャの最終4話は一まとめにされることが多いのですが、その中でも特にこの45話、46話は実質的な最終回ということで セットで語られることが多いようです。
さすがにラスト間近だからかこの2話には名場面がいくつか存在していまして、中でも本作全体を通してベストオブベストと いっても過言ではないのが、ペルシャが野球場で魔法を唱えるシーンだと思われます。狂ったようにバトンを振り回し、声をからして 何度も呪文を唱え、そして最後に”魔法でもどうにもならないことがある”と涙混じりにつぶやくペルシャの姿には、涙腺の弱い人なら 号泣してしまうかもしれません。それほど、鬼気迫る演出、作画、声優の演技が見事に揃った名シーン中の名シーンとなっています。
ところで、上では触れなかった残りの2話はどのような内容になっているのか?
簡単に書きますと、次の47話では甦ったフェアリが自分の正体を明かして沢木と再会を果たすも、結局は離れ離れになってしまう という話が、最後の48話ではアフリカへ旅立つ室井家の壮行会が淡々と描かれて終わりとなっています。
細かくは語られていませんが、魔法の力が無くなってカッパたちも姿を消してしまうという展開を見る限り、ラブリードリームが 復活してペルシャは使命から解放されたということのようです。ペルシャの元を去るときにカッパたちがせん別として魔法を1回だけ 使えるようにしてくれるのですが、それを使わないまま物語を閉じたのは上手いの一言。
いまひとつよく分からないのは、魔法が無くなったにもかかわらずシンバはブタネコのままで元に戻らなかったこと。シンバ 自身がライオンに戻りたくなかったということなのでしょうか?