FE生誕15周年に発売された、初の3DのFE。トラキア以来の据え置きのFEでもある。 前作、聖魔で採用されていた難易度選択が引き続き登場しており、遊びやすくなっているのが特徴。
ストーリーは初の貴族ではない主人公・アイクが傭兵として戦争に巻き込まれていく、というもの。 消化不良なところや伏線が多く、この作品だけで見ると少し不満が残るかも。ラスト付近は駆け足なので、もう少し時間をかけて進んでいっても良かったのではないかと思う。 今作での謎は続編の「暁の女神」でほとんど明かされてはいる。
3Dになったことによるグラフィックの変化、ムービーが追加された点には注目。 マップのグラフィックは当然ながら立体的で綺麗になっているし、顔グラもなかなかいい出来。ムービーも数は少ないが、クオリティはなかなか。
戦闘グラフィックはGBAとは違い、少し地味に。スピード感があまりなく、テンポが悪くなった感じがするのが残念。 必殺や奥義のモーションなども地味だったりわかりにくいものが多く、戦闘に関しては少し期待はずれな感じ。 ただし主人公・アイクの奥義である「天空」のモーションは非常にかっこいい他、魔法のエフェクトなど、見応えのあるものも多い。
音楽についてはなかなか。 仲間入りの曲、後半のマップ曲や戦闘曲の人気が高く、エンディングで流れる楽曲、「Life Returns」など、特徴的なBGMも多い。 エンディングで流れるFEお馴染みのメインテーマもオーケストラ調になっており、壮大な感じで高評価。タイトルで流れないのは寂しい点ではあるが。
システム、やりこみ度の完成度は高め。 GBA三作での支援システムが改良され、隣接ではなく、一緒に出撃させることで支援が発生するようになり、支援発生にターンをかける必要がなくなった。 更に拠点システムが追加されたことで、育成やユニット同士の会話も楽しめるようになったことも特徴。本格的にスキルが復活したこともプラス点。 闘技場がなくなったのは賛否が分かれるところだが、これによって最後まで難易度を下げることなくプレイできるのはメリット。
攻速の計算式が「体格」ではなく「力」で行われるようになったことも大きな特徴だろう。 GBA三作ではレベルアップによって体格は変化しなかったため、重い武器や魔道書はどうしても扱いにくかったが、 今作は普通に伸びるステータスである力によって武器の重さをカバーすることができるため、鋼系などの重い武器を使いやすくなった。
ゲームバランスについては、長らく強クラスだった剣士・ソードマスター系列が、必殺率ボーナスの廃止と槍を使うユニット、守備の高い敵の増加によって弱体化。 代わりに再移動の復活や、全体的に穴が少なく守備も高くなる騎兵系が、アーマーの株を奪うほどの使いやすさになった。 武器では威力が高く、槍相手に優位を取れる斧が強い存在に。 剣士系は使っていけないほど弱くはないが、せめて10%ほどでもソードマスターの必殺率ボーナスがあっても良かったのではないかと思ってしまう。
シリーズ初登場の種族、「ラグズ」に関しては、(一部ユニットを除いて)使いにくさが目立つ。 普段は人型で、戦闘時に獣や鳥などに化身することで高い戦闘力や移動力を発揮することができるのだが、 化身していないと攻撃すらできない上に、間接攻撃の手段が一切ないという点がつらい。 化身状態を維持するアイテムも存在するが、有限または能力値が下がるデメリットがあり、やはり使いにくい。 そのため武器や魔法、杖を使う、従来のFEシリーズのユニットである、「ベオク」を中心に編成する方が安定する。 また、クラスチェンジができないというのも寂しい。成長率は全体的に高めで、能力的には十分やっていけるユニットが多いのだが。
やりこみ度は封印であったトライアルマップの復活、高難易度のマニアックモードなどもあって充実。 が、支援会話集がなくなってしまったのが大きなマイナス点。ユニット数が多いので、あればもっと楽しめたと思うのに惜しい。
表の難易度はハードでのもの。 FEシリーズの中間くらいの難易度で、大体封印と同じくらいの難易度という印象。前述の通り闘技場がなくなったことで、難易度を下げることなく楽しめると思う。 初心者はノーマル、上級者はマニアックと選ぶことができるため、難易度について心配する必要はなし。 ノーマルは ☆(聖魔並み)、マニアックは ☆☆☆☆☆(トラキアよりちょっと下)といった感じだろうか。
総評としては、あまり派手さはなく、ストーリー面やシステム面で物足りなさはあるものの、堅実な作りで戦略性は健在。 続編の暁はストーリー的な補完を求めるならばプレイするべきだが、ゲームバランス的には蒼炎の方が優れている。 |